蛍石(ほたるいし)
古くから鉄を作るために使われていた鉱物です。
ブラックライトを当てると青白く光る石もあります。
下呂市飛騨金山には以前蛍石の鉱山があり、日本でも有数の排出量でした。
今は廃坑になっていますが、蛍石の天然石を鉱山跡地付近で拾えるという体験スポットがあります。
小さなものだけでなく、大きな石が見つかることもあります。
蛍石探し、あなたも体験してみませんか?

 

笹洞蛍石鉱山
Deer Street Fluorite Mine.

この辺一帯には昭和15~16年頃からマンガン鉱山がいつくもあり、それを採掘する笹洞鉱山という会社がありました。
そこで働いていた鉱山開発を担当されていた方が笹洞鹿通(かどおり)地内にて、蛍石の鉱脈を発見しました。
蛍石鉱山の採掘権は松下鉱山に売却され、昭和30年から松下鉱山が本格的に採掘するようになりました。
採掘された蛍石は鉄鋼の触媒として、主に愛知県春日井市の大同鋼業(現在の大同特殊鋼)や大阪に出荷されていました。
採掘当初は平行に進む鉱脈で、この時でも脈の太さはタタミ一畳ほどもありました。坑道内の蛍石は現在拾う事ができるものと比べるとずっと緑の濃いものだったそうです。
並行の脈が尽きてくると、上に登ったり、縦穴を掘って地下の脈を探すようになりますが、上に掘ると落盤することがあり、地下深くを探すようになります。
いくつも縦穴をほったそうですが、本坑を深く掘り約90mのエレベーターを設け、降りた場所に大きな空洞を作り更にそこから横穴で脈を探すようになります。地下空洞はダンプが走れるほどだったそうです。
初期の頃の採掘方法はノミで石に穴を掘り、そこにダイナマイトをいれて、同じようなものを5つほど作り、導火線でつないで爆破して岩盤を砕きながら蛍石を採掘していました。。
後期になるとノミでほっていた穴をエアー式のさく岩機で掘るようになります。
昭和46年、脈が細くなり採れる量が減ってくると、松下鉱山は取引先の林火薬(御嵩町)に採掘権を譲渡しました。林火薬もしばらく採掘しましたが、やはり取れる量が少なくすぐに採掘をやめ、それ以来笹洞鉱山は放置されていました。
松下鉱山は本社のある春日井で蛍石を輸入し、引き続き営業していました。

蛍石 Fulorite

硬度4 CaF2 フッ化カルシウム ハロゲン化合物
製鉄の融剤として古くから採掘されてきた鉱物ですが、近年は製鉄の際に出るフッ素を含んだスラッジに毒性があり、処理が難しいことから使用されなくなりました。
現在ではレンズに加工され超高精度を要する機器に用いられています。一眼カメラのレンズとしても使用されることもあり、聞いたことがある方もいるかもしれません。
フッ素の原料としては今でも盛んに利用され、フッ素樹脂としてコーティングの材料、フロンガスなどの身近なものに使われています。
高温で光る性質を持ち、一部の蛍石は紫外線で光るものもあり、蛍光(fluorescence)という言葉はホタルが光る様子ではなく、蛍石が光る様子から生まれました。
その結晶の形や多彩な色で鉱物標本としてとても人気のある鉱物でもあります。